化学防護手袋とは?
有害な化学物質から皮膚損傷や、皮膚から体内に吸収することで生じる健康障害を防止するため着用する手袋です。
適切な手袋を着用し作業しましょう。
有害な化学物質から皮膚損傷や、皮膚から体内に吸収することで生じる健康障害を防止するため着用する手袋です。
適切な手袋を着用し作業しましょう。
労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(厚生労働省令第91号)が令和4年5月31日に公布及び施行され、事業者が、危険性・有害性の情報に基づくリスクアセスメントの結果に基づき、労働者に適切な保護手袋(化学防護手袋)を、使用させるよう改正されました。
素手で直接化学物質に触れると、化学熱傷、皮膚腐食などの障害を負うリスクがあります。また手袋をしていてもその手袋にピンホールやキズなどの欠陥がある場合、あるいは手袋の材質が不適切であることにより、手袋に化学物質が染み込んだり手袋が劣化したりすることで、化学物質が手に到達するリスクがあります。
化学物質が分子レベルで手袋を通過する現象を「透過」といいます。外観に変化がなくても化学物質は分子レベルで手袋を通過し、皮膚に接触して吸収されることがあります。
慢性的に被曝することでガンや内臓疾患などの健康障害を引き起こすリスクがあります。
努力義務:2023年4月1日施行
義 務:2024年4月1日施行
特に義務はなし
努力義務:2023年4月1日施行
化学物質の製造または取り扱い業務に従事される皆さまにおかれまして、 どのように手袋を選べばよいのか、私たちなりに考えてみました。こちらを参考に、適切な保護手袋をお選びください。
※1 SDSとは安全データシート(Safety Data Sheet)の略語です。化学物質および化学物質を含む混合物を入手する際、メーカーから必ず提供されるものです。
お手元に無い場合、メーカーにお問い合わせください。
手袋メーカーホームページ等を参考に、
取り扱う化学物質に耐性のある劣化しにくい手袋を選ぶ
(直接的な皮膚への接触、曝露の防止)
取り扱う化学物質は化学防護手袋着用義務の対象ですか?
取り扱う化学物質の含有量は裾切値以上ですか?
化学防護手袋着用義務の対象です。
②で選んだ手袋は、取り扱う化学物質に対して耐透過性を有する化学防護手袋ですか?
各化学物質に対する耐透過性はホームページ上の耐透過性試験結果一覧(※3)または耐透過性検索アプリ【ホゴスル®】で検索してください。
②で選んだ手袋をそのままお使いください。
化学物質名またはCAS番号を入力するだけで、適した化学防護手袋が分かります。
どなたでも無料でお使いいただけます。
耐劣化性(膨潤倍率)も検索できます。
耐劣化性・耐透過性ボタンで簡単切り替え。
検索する化学物質を追加することで複数の化学物質に対する耐性を調べられます。
各化学物質の有害性や関連する法令情報を表示できます。
手袋の表面を形成している樹脂の「皮膜」を溶剤の中に30分漬けこんだ時、その表面積が元の大きさに対して何倍になったかを示す数値です。「1.0」に近い程(変化が小さい程)、耐溶剤性能に優れている傾向があります。「皮膜」だけでの評価のため「裏地付き」の手袋の方が膨潤を抑制する分、数値が高くても使用可と表示しています。下表の緑色(推奨)または黄色(使用可)の手袋をおすすめします。
JIS T8116(化学防護⼿袋)で指定されている耐透過性試験(JIS T8030)に基づいて⾏った耐透過性試験結果です。
化学防護手袋
耐極性溶剤
化学防護手袋
耐塩素系・芳香族系溶剤
化学防護手袋
耐透過インナー
化学防護手袋
耐油・耐薬品
化学防護手袋
耐油・静電気対策
化学防護手袋
耐油・耐切創
化学防護手袋
耐酸・耐アルカリ
化学防護手袋
耐酸・耐アルカリ
化学防護手袋
耐酸・耐アルカリ
化学防護手袋
耐酸・耐アルカリ
化学防護手袋
耐酸・耐アルカリ
化学防護手袋
耐酸・耐アルカリ
酸、アルカリ、有機薬品、その他の気体及び液体又は粒子状の有害化学物質を取り扱う作業に従事するときに着用し、化学物質の透過及び/又は浸透の防止を目的として使用する手袋をいいます。
化学防護手袋について日本ではJIS T 8116というJIS規格があり、手袋に気泡・変形・傷などの欠点がないこと、皮膚に有害な影響がないこと等の基本的な品質に加え、薬品への性能・試験方法等について規定しています。
労働安全衛生関係法令において使用されている「不浸透性」は、有害な化学物質等と直接接触することがないような性能を有することを指しており、JIS規格(JIS T8116)で定義する「透過」しないこと及び「浸透」しないことのいずれの要素も含んでいることが要求されます。
手袋上のピンホールや穴、キズ、縫製部などから直接化学物質が侵入することをいいます。JIS T8116では、「化学防護手袋の開閉部、縫合部、多孔質材料及びその他の不完全な部分などを透過する化学物質の流れ」と定義しています。
化学物質が分子レベルで手袋の素材を通り抜けてしまう現象のことをいいます。手袋外観に異常が見られなくても、透過した化学物質が皮膚から吸収され、それが慢性的に体内に蓄積することで、発がんなどの健康障害を引き起こすリスクがあります。JIS T 8116(化学防護手袋)では、「透過」を「材料の表面に接触した化学物質が、吸収され、内部に分子レベルで拡散を起こし、裏面から離脱する現象。」と定義しています。
JIS T8116とは、酸・アルカリ・有機薬品などの有害な化学物質を取り扱う際に化学物質の浸透・透過の防止を目的として使用する化学防護手袋について規定した規格です。規格には試験法だけでなく様々な項目が規定されており、ダイヤゴムのJIS T8116適合品は、この規格で必要とされている全ての項目に適合したものとなります。
2023年6月1日時点で以下の製品がJIS T8116に適合しています。
使用開始から480分経過するまでとなります。例えば1日目に120分使用し、2日目に360分使用するということは推奨しておりません。化学物質は手袋表面に付着した時点から透過が進み始めます。途中で使用を中断しても透過の進行は止まらないものとされています。
ダイローブT1-Nを含む耐透過性インナー手袋は使い捨てでご使用いただく形になります。
当社のポリウレタン手袋は各種有機溶剤に対して非常に優れた耐性を有していますが、透過についてはあまり得意ではありません。一部の有機溶剤に対しては一定の耐透過性を有しますが、透過対策が必要な場合は、ダイローブT1-Nなど、耐透過性に優れた手袋をインナーとして着用することをおすすめしています。
有機溶剤や化学薬品にはさまざまな種類があり、その種類や作業環境(負荷、時間など)によって耐久性が異なります。当社ホームページ上の耐溶剤面積膨潤倍率表を見ていただくか、または耐薬品性検索アプリ「ホゴスル®」で薬品名を入力して検索していただくことで、ご使用の有機溶剤や化学薬品に対して耐性のある手袋を検索することができます。
→耐溶剤面積膨潤倍率表はこちら
→耐薬品性検索アプリ「ホゴスル®」はこちら
ご不明な場合は当社(TEL:027-268-0491)までお電話いただくか、ホームページよりお問い合わせください。その際、ご使用の有機溶剤、化学薬品のSDS、作業内容などの情報をいただけますと、選定がスムーズに行えます。
適切でない手袋を使用した場合、以下のようなリスクがあります。
有機溶剤や化学薬品にはさまざまな種類があり、その種類や作業環境(負荷、時間など)によって手袋の耐久性が異なります。当社ホームページ上の耐溶剤面積膨潤倍率表を見ていただくか、または耐薬品性検索アプリ「ホゴスル®」で薬品名を入力して検索していただくことで、ご使用の有機溶剤や化学薬品に対して耐性のある手袋を検索することができます。
違います。有害な化学物質を安全なものに代替する、有害な化学物質を取り扱う作業を廃止・変更するなどの「本質的対策」、人が触れないように化学物質を密閉する、局所排気装置を設置するなどの「工学的対策」、マニュアル整備や立入禁止措置、ばく露管理、教育訓練、健康管理等の「管理的対策」、これらを実施・検討した上でなお当該化学物質を労働者が直接接触する可能性のある作業が必要である場合、最終手段として化学防護手袋の着用を義務付けるものとなっています。まず化学防護手袋の着用ありきではないのでご注意ください。
努力義務対象まで含めると、皮膚に障害を与えるおそれ又は皮膚から吸収され、若しくは皮膚に侵入して、健康障害を生ずるおそれのあるもの全てが対象となります。化学防護手袋着用義務ありとされる対象物質についてはこちらをご参照ください。
努力義務対象まで含めると、皮膚に障害を与えるおそれ又は皮膚から吸収され、若しくは皮膚に侵入して、健康障害を生ずるおそれのあるもの全てが対象となります。
化学防護手袋着用義務ありとされる対象物質についてはこちらをご参照ください。
次亜塩素酸ナトリウムは化学防護手袋着用が義務となる化学物質です。当社では有効塩素濃度12%の試薬でJIS T8030に準拠した透過試験を実施しており、以下の手袋で破過時間>480分(クラス6)の結果が得られております。
これらの中から作業内容や作業性等に応じて適切なものをお選びください。(下記①~④はJIS T8116適合品です。)
①ダイローブT1-N
②ダイローブバリューESD3011
③ダイローブバリューYN5011
④ダイローブA95EX、ダイローブA95-55EX、ダイローブA96EX、ダイローブA96-55EX、ダイローブA960EX、ダイローブGBC-1EX
⑤ダイローブH200、ダイローブH200-40、ダイローブH200-55、ダイローブH202、ダイローブH203、ダイローブH203-60
JIS規格(JIS T8116)において試験法が確立されていないため、固体物質の透過データの測定はできておりません。
なお、固体の化学物質の場合、室温付近の温度では⼿袋の材料をほとんど透過しないため、任意の化学防護⼿袋を着⽤することができるとされています。
ただし、以下の条件では透過する可能性があるため注意が必要です。
・ ナノ粒⼦状物質
・ 昇華する物質(ナフタレン、ヨウ素など)
・ ⼤気中の⽔分を吸収して液体化する物質(⽔酸化ナトリウム、塩化カルシウム、クエン酸など)
・ 空気や⽔分に化学的に反応する物質
・ 他の物質と混合される場合
例えばジクロロメタンは、職場の安全サイトで入手できるSDSでは「皮膚腐食性・刺激性:区分2」となっているため、化学防護手袋の着用は努力義務と判断してしまいそうになりますが、特化則で化学防護手袋の着用が義務付けられる対象物質となっているため、結論としては化学防護手袋の着用義務ありと判断されます。SDSだけでなく、特化則や令和5年7月4日基発0704第1号でリストアップされた皮膚吸収性有害物質(296物質)のリストも合わせて確認することが必要です。
例えばメチルエチルケトン(MEK)は、職場の安全サイトで入手できるSDSでは「皮膚腐食性・刺激性:区分2」となっているため、化学防護手袋の着用は努力義務と判断してしまいそうになりますが、皮膚吸収性有害物質(296物質)にリストアップされているため、結論としては化学防護手袋の着用義務ありと判断されます。
また、SDSの第15項︓適⽤法令のところに⽪膚等障害化学物質への該当性が記載されているものがありますが、記載されていないものも多くあります。
SDSだけでなく、特化則で化学防護手袋の着用が義務付けられる対象物質のリストや当該リストも合わせて確認することが必要です。
SDSで成分を確認し、それぞれの化学物質に対する耐劣化性、耐透過性から総合的に判断することになります。当社が開発した耐透過性検索アプリ「ホゴスル®」では複数の化学物質に対する耐透過性・耐劣化性も同時に調べることができますのでご活用ください。手袋の選定にお困りの際は当社までお問い合わせください。
化学物質の購買先にお問い合わせいただくか、最も厳しい内容のSDSに合わせて判断しておくのがよいと考えます。手袋の選定にお困りの際は当社までお問い合わせください。
背景情報等確認させて頂いた上で検討いたしますので、まずは当社までお問い合わせください。
労働安全衛生規則そのものに罰則規定はありませんが、労働安全衛生規則と一体不可分である労働安全衛生法には罰則規定があります。労働安全衛生法第22条では、「事業者は、原材料等による健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない」旨が規定されており、また同119条には、「第22条等に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」との規定があります。また、適切な化学防護手袋を着用させなかったことにより、労働者に健康障害を生じさせた場合、事業者側に安全配慮義務違反が問われる可能性があります。
取扱い薬品が数種類混ぜ合わせたもので、どの手袋を使用したらよいのか?と困っていました。
「ホゴスル」は登録も簡単で、薬品を追加して検索することができるので、当社業務に適した化学防護手袋を簡単に見つけることができました。
化学薬品を製造する会社です。制度を最近知り、ネットで調べていましたが具体的にどの化学防護手袋を使用したらよいのか困っていました。
ダイヤゴムさんのお問い合わせ窓口に電話したところ、当社の業務内容をよく理解いただき、良いアドバイスをいただきました。
化学防護手袋については、業種や取り扱い薬品によって適切な手袋が異なります。
不明な場合、ご不安を抱えられている場合はお気軽にお問い合わせください。当社の専門スタッフがサポートいたします。
営業時間:8:30~17:30
休日:土曜・日曜・祝祭日・年末年始・指定日
厚生労働省は、化学物質による労働災害を防止するため、労働安全衛生規則等の一部を改正しました。
■公布日:令和4年5月31日
■施行日:公布日(一部令和5年4月1日又は令和6年4月1日施行)
化学物質による休業4日以上の労働災害(がん等の遅発性疾病を除く)の原因となった化学物質の多くが、化学物質関係の特別規則(特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則)の規制の対象外となっているものでした。今回の改正は、これらこれまで規制の対象外であった有害な化学物質を主な対象として、国によるばく露の上限となる基準の策定、危険性・有害性情報の伝達の整備拡充等を前提として、事業者が、リスクアセスメントの結果に基づき、ばく露防止のための措置を適切に実施する制度を導入するものです。具体的には以下の項目が「新たな化学物質規制項目」として公布されています。この中で、化学防護手袋着用義務化に関係するのは以下⑤になります。詳細は以下厚生労働省ホームページ等をご参照下さい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html